ISM・雇用統計・停戦協議とイベント続く。ビットコインにはポジティブか?

ポイント
・45,000ドル台へ反落、CMEの窓埋め直前で下げ止まる
・きっかけはEUのトラベルルール適用拡大か
・ただし、本日のイベント前のポジション調整の色合いも強い
・投資家の間にインフレ警戒感が強まっており、BTCにはポジティブか
昨日のBTC相場
昨日のBTC相場は上値の重い展開。
火曜日に48,000ドル(約585万円)台で上値を抑えられると、その後は概ね47,000ドル(約575万円)台でのもみ合い推移が続いたが、昨晩45,000ドル台に反落した。
BTCは200日移動平均線が横たわる48,000ドル台で上値を抑えられると、円建てでヘッドアンドショルダーを形成、ネックラインである580万円近辺で上値を抑えられる展開が続いた。
するとEU議会が暗号資産取引のKYC強化(トラベルルール)に際し、当初EUR1000以下の小口には適用しないとされていたスレッシュホールドを撤廃、投票に入ったと伝わると、BTCは下落に転じた。
同じ頃、プーチン大統領が非友好国に対する天然ガスのルーブル払い要求を4月1日から開始するとし、応じられない場合は供給を停止するとし、対EURでルーブルが上昇したことも若干影響したか。
ドル建ての平行チャネルの下限となる46,000ドルで一旦下げ止まったが、再び下落。先週金曜日から月曜日にかけてCMEのBTC先物で発生した大きな窓埋めにあと数百ドルとなる45,000ドル台半ばで下げ止まっている。
本日のBTC相場
本日のBTC相場は指標や株価動向に振らされながらも、最終的には底堅い展開を予想する。
EUのトラベルルール適用拡大を機に下落したBTC相場だが、トラベルルール自体は何年も前から議論されており、本邦でも対応が始まっている話。EUの話はきっかけで、本日のイベント前にポジション調整が入った形だと考える。
本日は米雇用統計とISM製造業景況指数が発表される。更に、ロシア・ウクライナの停戦交渉がオンラインで開催される。前回トルコでの対面交渉でロシア側が本国に持ち帰って検討するとしていただけに、クレムリンの反応が注目される。
この中でも注目は雇用統計だ。先週の失業保険申請件数は歴史的低水準で、米経済は労働市場のひっ迫、賃金上昇とインフレのスパイラル的な上昇に入ったか、どうかを見極める上で重要だ。
欧州大手ヘッジファンドのブレバンハワードは1970年型スタグフレーションに陥るリスクがあるとの見方を示した。イベント直後には乱高下があるかもしれないが、そうした投資家のインフレヘッジ需要からBTCは底堅く推移すると考える。
松田康生
楽天ウォレットシニアアナリスト
東京大学経済学部で国際通貨体制を専攻。三菱UFJ銀行・ドイツ銀行グループで為替・債券のセールス・トレーディング業務に従事。2018年より暗号資産交換業者で暗号資産市場の分析・予想に従事、2021年のピーク800万円、年末500万円と予想、ほぼ的中させる。2022年1月より現職。
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